
ボツリヌス療法とは、食中毒の原因菌であるボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質を有効成分とした注射剤を使う治療法です。体の中にボツリヌス菌そのものが入ることはなく、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
この治療法は世界83カ国以上で広く認められています。日本では、脳性まひによる下肢痙縮(かしけいしゅく)に伴う尖足(せんそく)以外に、眼瞼(がんけん)けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸(けいせいしゃけい)が下肢痙縮による尖足に先立って認可されており、2009年2月現在、約8万人以上の方がこのおくすりの投与を受けています。
このおくすりを緊張している筋肉に注射すると、痙縮(けいしゅく)の原因となっている神経の働きを抑えるため、筋肉の緊張がゆるみます。注射のおくすりですが、全身に作用するわけではありません。通常、注射した点からその周囲の数センチの範囲の筋肉にだけ作用します。筋肉の緊張がゆるむことによって姿勢や運動の障害を改善し、同時に痙縮(けいしゅく)や変形などによる痛みをやわらげる効果も期待できます。このため、家族や周囲の人にとってもリハビリテーションや介護がしやすくなります。また、痙縮から拘縮への進行を遅らせる可能性があり、将来的な手術による整形外科的治療を遅らせたり、避けられることも考えられます。

ボツリヌス療法は痙縮(けいしゅく)による尖足(せんそく:つま先立ちの姿勢)を主な治療対象とします。注射は、痙縮(けいしゅく)で固くなった筋肉に対しておこないますが、一人ひとり注射するところは異なりますので担当医と相談してください。注射時にはお子さんの安全および精神的ストレスを考慮して、鎮静薬を使うこともあります。
