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痙性斜頸という病気は、以前は薬物内服治療と、手術による治療が中心でした。
現在では、比較的新しい治療法であるボツリヌス療法が広くおこなわれるようになってきました。
この項では、痙性斜頸のボツリヌス療法を中心に、皆さんにわかりやすく紹介します。
ボツリヌス療法とは
ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンを注射して、緊張している筋肉を麻痺させ、筋肉の緊張によって起こる痙性斜頸の症状を改善する治療方法です。
ボツリヌストキシンは天然のたんぱく質でできた毒素のことです。このことから、使用をためらう方もいらっしゃいます。しかし、ボツリヌストキシンは、規定の講習実技セミナーを受講した医師が正しく使えば、決して危険な薬ではありません。むしろ、効果は劇的で、治療を受けられた患者さんはまったく別の印象をもたれることが多いようです。
このボツリヌス療法は、現在日本では眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸のみに対して承認されている治療方法です。


- 方法(どのように行なうのか)
ボツリヌス療法は、緊張している筋肉に希釈したA型ボツリヌストキシンを直接注射するという方法で行われます。入院する必要はありません。当日こそ入浴や激しい運動はできませんが、翌日以降は、これまでと同じように過ごすことができます。
もちろん、注射液の中にはボツリヌス菌は入っていませんから、注射した後、その場所でボツリヌス菌が増えるなどということは、決してありません。
ただ、いつでもすぐに治療できるわけではありません。この薬は病院では保管できず、規定の講習実技セミナーを受講した医師が必要な分量を報告した上で、必要な分だけが病医院に届けられるという厳しい手続きで使用される薬なのです。

- 作用
ボツリヌストキシンは、神経と筋肉の伝達を遮断して、筋肉の緊張を取り除きます。ボツリヌストキシンは、注射した筋肉とその周りにある筋肉にしか作用しません。
つまりボツリヌス療法とは、筋肉にボツリヌストキシンを注射することによって、注射をした筋肉とその近くの筋肉だけの緊張を取り除き、効果を得る治療方法です。

- 効果と持続
治療当日には、ほとんど効果は現れません。通常では2〜3日してから、徐々に効果が現れてきます。治療の効果は1〜2週間程度で安定し、数ヶ月持続した後、数週間かけて効果が消えていくため、反復して治療を受ける必要があります。また、痙性斜頸の場合、初回の投与量が少なく設定されているため、初回の治療で大きな効果を得ることは難しく、用量を増やしたり、新たな注射部位を増やしたりして、治療を反復することで効果を積み重ねていく必要があります。

- どこに注射するの
症状によって、注射する場所は違ってきます。基本的には首や肩の周りの筋肉ということになります。注射をする場所も多く、注射針が深い位置に入ることもありますが、こわがらずに治療を受けてください。

- 副作用
ボツリヌストキシンは、長くても数ヶ月で効果が消えてしまいます。副作用の多くはくすりの効きすぎによるもので、ほとんどは効果の消失と共になくなります。

- どこへ行けば治療が受けられるのか
ボツリヌス療法は、どこででも受けられるというものではありません。薬を使うための規定の講習実技セミナーを受講した医師のいる医療機関に限られます。そこでも、すぐに治療を受けられるわけではなく、診察を受け、医師が治療内容、薬の使用量を決定し、注射予定日を予約し、数日から2週間後、医療機関に薬が届けられてはじめて、治療が受けられるのです。
なお、この薬は使用する前の準備が必要な上、医療機関に長時間保存することもできません。予約した治療日時は、必ず守るようにしてください。

- ボツリヌストキシンとは
ボツリヌストキシン(ボツリヌス毒素)は、ボツリヌス菌によって作られる毒素です。
1977年にアメリカで初めて斜視治療に対して用いられ、その後、眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸の治療にも用いられるようになりました。
ボツリヌストキシンのもっとも基本的な作用は、筋肉の緊張をやわらげる事です。そのため、筋肉の緊張やけいれんによって引き起こされる、眼瞼けいれん・片側顔面けいれん・痙性斜頸に効果的に作用します。





